理系、科学者 > 文系、人文・社会系学者 世にはびこる重要度の公式を疑う

学術会議新会員任命拒否問題で学問の自由に権力者が手を付けようとしている。

そして、その6人はおそらく意図的であろうと思いますが、すべて人文・社会学系の

研究者だ。

岡田正則早稲田大教授(行政法)「総理の任命拒否は違憲違法だ。拒否を撤回すべきだ。」

松宮明立命館大教授(刑事法)「総理は国民を代表して自由に公務員を選定罷免できると宣言した。ナチスヒトラーでさえ全権掌握のために新憲法を作ろうとしたが、総理は現行の憲法でやろうとしている。独裁者になろうとしているのか。

芦名定道京都大教授(キリスト教学)「大学での軍事研究を推進したい政府に、明確に反対した会議が大きな問題になった。日本の科学技術の在り方を政府が支配しようとしている。」

小沢隆一東京慈恵医科大教授(憲法)「軍国主義化の中で大学の自治が崩され、思想弾圧が相次ぎ、科学者が戦争に加担した。戦前の苦い経験を経て憲法で”学問の自由”が保障された。」

加藤陽子東大教授(日本近代史)「国民からの負託がない官僚による科学への統制と支配は、国民の幸福を増進する道ではない。」

宇野重規東京大教授(政治思想史)「民主的堺の強みは批判に開かれ、自らを修正する能力にある。能力が鍛えられ発展することを確信している。」

刑事法、キリスト教学、憲法学、日本近代史、政治思想史、政府が物を言わせたくない学問分野は、見事に政府が科学技術の恩恵を平和や国民の命を守るために使うのではなく、軍事分野に都合よく、独占して使いたいという時に邪魔になりそうな分野ばかりではないか。

ここで世間一般に、理系が文系より重要な学問で、文系は社会発展には役に立たない、と流布されている考えを疑う証拠を見つけてしまった。

高度な医療も、便利な道具も、快適な都市生活も、確かに数字と電気のON,OFFで成り立っている。数学や理系分野と相性がいい。

だが、それらを重要視し、文学、芸術、社会科学の弾圧をしたことが、広島に長崎に、酷い鉄槌となって降ったことは今更言うまでもない事だ。

便利な発展したかに見える社会を過去に照らして検証し、必ず暴走する科学と独裁者をいさめるのが文系と言われる人文・社会学だ。

原子力発電所が不可逆的な大事故を起こし、資本主義の暴走による地球温暖化が各地に大災害、飢餓、国土消失の危機を突き付けている。

コロナ禍にあえぐ人類をしり目に宇宙研究予算を、その成果がコロナ鎮静化の役にも立つという無理やりな理由をつけて、巨額請求する日本の官僚、それを認めようとする政治家の愚を何とか止めさせなくてはならない。科学と人文、社会学は総合知で様々な困難を解決してゆかなければならないのだ。

文系が役に立たないというのは嘘だ。むしろまったく逆なのだろう。役に立ちすぎてむしろ邪魔な存在なのだろうと思う。人文、社会学は人類の知性の蓄積そのものだ。それらをを軽視し、下に見て、国民から知性を奪うことが政府に都合がよいから、”文系は役に立たない”と流布するのだと、知らされた。

人は考えるとき、理系も文系もない。学問的に線が引けるわけでもない。時の政権によって勝手に分類、淘汰させてはならない。