ギリシャ彫刻の特集。現代私たちが目にする躍動感、臨場感あふれるギリシャ彫刻は最初からこの姿だったわけではない。初期の偶像的な彫刻に少しずつ筋肉、動き、感情を加えていき、完成されていったものだそうだ。サモトラスのニケは屋外の海から帰る人々が目にする絶妙な位置に置かれていたそうである。実際に外の風を受けて立ち、まさに羽ばたこうとするかのように見えたことだろう。古代ギリシャの街にはあちこちに彫刻が置かれ、現代でいえば新車発表会に集う人々さながらに”このラインはいいね”などと評価したり鑑賞していたのだそうだ。街に彫刻がある暮らし。ひるがえって見渡せば現代日本自動販売機とコンビにばかりの暮らし。美しくない。