男女差別は戦争への道

東大学長と理事8人合計9人の執行部の内、5人が女性となり、国立大で執行部の過半数を女性が占めるのはめずらしいそうだ。

また、大磯町議会も2003年7月に全国で初めて、男女同数の議員比率になってからその傾向が定着しているという記事を読む。

ところで、男女不平等な社会は誰にとって都合が良いのだろうか。
ずっと男性にとって楽だから、男性が上に立って優越感を得たいから、などと考えてきた。偉人英人も男性ばかりだし、体力的な意味でも優位に立つから、重労働ではどうしても男性に分がある。
男性の方が偉いのだと言う”刷り込み”はなかなか手強い。

つまり、女性より男性の方が現代社会を生き抜くためには優れているかのように見えるから、女性はきっと下に置かれていたのだろうし、腹が立ってもなんとなく理不尽でも、最終的には突き詰めて考える事はやめていた。考えていると前に進めない。解決するにはあまりに社会の慣習が鉄壁過ぎる。

男性が作った社会が男性にとって生きやすいのは当たり前だし、
男性中心の社会運営で、今地球規模で経済や環境が破綻寸前になっているのに。

将来の夢を語ったら、”大変だよ、女の子はかわいい嫁さんがいいよ”と教師に言われた中学生の時、
就職率がいいから四年制大学より短大がいいよ、と言われた時、
仕事していてもかわいい女性でいる事を強要されたとき、
男性からのたばこ買い指示、社内旅行でのセクハラ、仕事で頑張ると上司にいい気になるなとパワハラされた時、
結婚したら会社を辞めるのが当然という風潮にあらがえなかったとき、
結婚して名前を失った時、
貴方は○○家の人間でしょう(実家より婚家が優先でしょう)と当然かのように言われた時、
お嫁にいったからあちらの人ね、言われた時、
夫の実家では夫はお客なのに、私は下働きで、逆はない事をかみしめた時、
「男の人が(自分の息子の事)が働きやすいようにお願いしますね。」と言われた時、
やっと見つけた再就職先で働くこと「仕事なんて」と言われた時、

様々疑問に思っていたし、自分なりに障壁を取り除いて来たけれど、その都度、
私のほうがわがままな事をしているのだと、罪悪感が付きまとってきた。

ここへきて時代の変化を感じる、
我がままではなくて当然の疑問らしいぞ、と。

なぜ夫は夫の実家でお皿を洗わなくていいのか?誰か明確に答えられるか。
「そういう事になっているんだからあたりまえでしょ(聞くまでもない事)」という社会通念に、
再度それはおかしい、きちんと理由を聞きたいと思う。明確な理由を聞く権利をなぜ放棄していたのだろう。
自分にとって、いちいち疑問を投げかける事が損だったからだろう。

だけれど、冒頭の、男性のほうが偉いからだという理由は男女差別で、それは人権の侵害だからと明確に否定できる時代になってきた。これは大きい。
されている差別を、あたり前な事だから受け入れない自分が悪い、と思うのと、
これは明確な差別だから、私は人格人権の侵害を受けているのだと正しく認識出来ているのは、現状は少しも変っていなくても、自己否定しなくて済む分だけ、目の前が開ける感じがする。

そして冒頭の、
男女不平等な日常は誰にとって都合が良いのだろうか。本当に男性にだけ都合がいいから、女性は下に置かれているのだろうか、と言う疑問に戻る。
なぜ差別を我慢したのだろう。差別を放置して従うことは誰にとって都合が良いのだろう。
女性の方がなぜ”下”なのだろうか。その理不尽さを口にすると、ともすれば”嫁姑問題”などに矮小化されて、差別の元になっている人勧侵害はそのままにされ、根本的な問題が見えなくされてきたのではないか。

これは嫁姑問題ではないと気づく。もっと危険なことを成し遂げようとしたい、権力者にとって都合がいい”慣習”と見せかけた”飼いならし”だ。
男女差別は人間に優越の順位をつけて人を要不要に分ける最初のステップだ。それは障害者差別、外国人差別、その他様々な人の順位付けよりも悪行がばれにくい。女性を下に置くことは”慣習”として浸透させやすいから。この壁を崩せないと他の差別もなくならない。結果として人々は
政府に都合の良いように順位付けされる。

何の都合か?軍事国家を作る都合だ。軍隊は一人の権力者を頂点とする階級社会だから、いちいち下剋上が起こる平等な組織は都合が悪い。

女性を家の中の階級社会で下に置いて、当然のように他の家族も一番元気な男性を頂点として順位付けをし、
最小の軍隊組織を作らせてそれが集まって国が成り立っていた時代に太平洋戦争は起きた。

男女差別に異を唱えることは、変わったことでも我がままでもない。権力者の暴走を止め、命を守るために男女問わず、市民に課せられた責務だと思う。国によって誘導される間違った慣習を見抜かないと、オオカミについていく従順な羊の群れになってしまい、気が付いたときにはオオカミは牙をむき、男女の差なく人は要不要のふるいにかけられる、暗黒国家になってしまう事だろう。

男女差別は人権侵害、戦争へと続く道。